シクラメンのかほり
シクラメンのかほり(1975)布施明
作詞・作曲:小椋佳
花とみどりに関わる音楽をテーマにゆるくご案内。
第4回は「シクラメン」をお届けします。
シクラメンとは
シクラメンは地中海地方原産のサクラソウ科の球根植物です。日本では別名、カガリビバナ(篝火花)、ブタノマンジュウ(豚の饅頭)とも呼ばれています。
カガリビバナと名付けたのは、NHK連続テレビ小説『らんまん』のモデルにもなった牧野富太郎先生ですね!
Cyclamenの語源は、古典ギリシャ語で「円」を意味する言葉が由来と言われています。球根の形が丸いからでしょうか!?
シクラメンの花言葉
花言葉は「はにかみ」。うつむいて恥ずかしそうに見える花姿からと伝えられています。日本へは明治時代に伝わり、戦後急速に普及しました。
はにかみ 伝説
一風変わった、下向きに花をつけるシクラメン。
花言葉の由来ともなっているこんな伝説が残されています。
交渉は決裂、ことごとく断られましたが、唯一OKしてくれたのがシクラメンさん。
ソロモン国王が感謝の気持ちを伝えると、シクラメンは恥ずかしさと嬉しさのあまり、はにかみながらうつむいてしまった。」
信じるか、信じないかはあなた次第です(笑)。
シクラメンにまつわる楽曲
さて、シクラメンにちなむ楽曲と言えば……
1975年日本レコード大賞・大賞受賞曲、布施明さんの「シクラメンのかほり」(作詞・作曲 小椋佳)でしょう。
真綿色したシクラメンほど
清(すが)しいものはない
出逢いの時の君のようです
(中略)
うす紅色のシクラメンほど
まぶしいものはない
恋する時の君のようです
(中略)
うす紫のシクラメンほど
淋しいものはない
後ろ姿の君のようです
(中略)
疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼び戻すことができるなら
僕は何を惜しむだろう
≪シクラメンのかほり 作詞・作曲 小椋佳≫
楽曲誕生秘話
作者 小椋佳さんは、この楽曲を作った当時は、日本勧業銀行(現・みずほ銀行)に勤務。銀行マンとして働きながら、ミリオンセラーを生み出すとは驚きです。
「〇〇ほど▽△なものはない」というフレーズは、エルヴィス・プレスリーの「Mary in the Morning」の歌詞、" Nothing's as 〇〇 as ▽△ " から引用し、
その 〇〇と▽△の部分に、北原白秋全集からピックアップしたお気に入りのワードを当てはめたものとされています。
1番、2番の歌詞は、プレスリー、白秋へのオマージュとして、3番は逆に、この世に実在しないピース「うす紫のシクラメン」をあえてはめ込み、タイトルを「シクラメンのかほり」としたというのが定説です。
当時は、薄紫色のシクラメンは無く、香りもほとんど無かったが、後に薄紫色、香りが良いシクラメンが開発されたと言われています。
小椋佳さんの妻、佳穂里(かほり)さんは、小学校1年のときの初恋の相手。
「シクラメンのかほり」は、最愛の奥様を思って作られたという説がありますが、本人は否定されています。
シクラメンより美しい!?
布施明さんのレパートリーに花を題材にした名曲がもう一曲あります。
1979年、カネボウ化粧品のCMソングに採用された
「君は薔薇より美しい」です。
作曲・編曲は、「ガンダーラ」「モンキー・マジック」が大ヒット、絶頂期のゴダイゴのミッキー吉野さんですね!
布施さんは、このCMに出演したハリウッド女優 オリビア・ハッセーさんとご結婚されのも当時、話題になりました。
この曲も、【植物と音楽】シリーズに取り上げたい一曲ですね。
カバーした主なアーティスト
「シクラメンのかほり」は数々のアーティストに愛され、
受け継がれています。
- 柏原芳恵
- 中森明菜
- 高田みづえ
- 佐良直美
- チェリッシュ
- ダ・カーポ
- 畠山美由紀
- 八代亜紀
- 天童よしみ
- 柏原芳恵
- 岩崎宏美
- 森進一
- テレサ・テン
- クロード・チアリ
など
<参考>
シクラメンのかほり / 布施明
作詞・作曲 小椋佳
https://www.youtube.com/watch?v=EFu0kq88YEk
筆者:蒲原 編集:鈴木