私にとっては、胡蝶蘭は娘のよう。
傷ついていないか?
傷ついていないか?
悪い虫はついてないか?
毎日 気にかけています。
出荷は育てた娘たちの花嫁支度。
毎日 気にかけています。
出荷は育てた娘たちの花嫁支度。
見送るのは、いつも少し寂しい気もするね。
そう照れながら語ってくれたのは、hanna を運営する竹中庭園緑化で胡蝶蘭の生産部門(JOC)を担当する、胡蝶蘭のプロフェッショナル 前田さん。
こんにちは!
ハンナのコンシェルジュ溝手です。
このサイトは、花とみどりがもたらす「心に染み入る栄養」と「暮らしのささやかな変化」をプロフェッショナルの経験やセンスを元に、楽しく、手引きのように丁寧にご提案。
少しでも、花とみどりを身近に感じるきっかけとなるよう目指しています。
今回は竹中庭園緑化で胡蝶蘭生産部門を担当している 前田さんをインタビューしました。高価で贈答品のイメージがあり、ご自宅では馴染みの少ない胡蝶蘭。そんな胡蝶蘭の自宅での楽しみ方をご紹介。胡蝶蘭を知って、胡蝶蘭をもっと身近に感じていただけたら嬉しいです。
竹中庭園緑化とは
当サイト(花とみどりのオンラインショップhanna)の運営会社。花とみどりのプロフェッショナルとして観葉植物リース(レンタル)、造園・植栽管理、花とみどりを用いた空間装飾を手掛けている創業130年の老舗企業です。
JOC(ジャパン・オーキッド・センター)とは
竹中庭園緑化が運営している胡蝶蘭の生産部門。
施設面積約400坪のハウスにてミディ胡蝶蘭・マイクロ胡蝶蘭の育成を行なっており、幅広い層への普及、ホームユースを目指しています。
胡蝶蘭の特性を熟知した 生産者から、胡蝶蘭への想いとその楽しみ方を教えていただきました。
「暮らしにささやかな変化をつけたい!」
「いつもと違う花を飾ってみたい!」
という方は要チェック!胡蝶蘭を飾って暮らしをもっと楽しみましょう!
胡蝶蘭のプロフェッショナル前田さん
入社21年目
徳島県で、種苗屋のハウスにて大輪の胡蝶蘭の生産に携わる。当時はお祝い花がシンビジュームから胡蝶蘭に移り変ったころで胡蝶蘭の全盛期。大輪の胡蝶蘭ブームが落ち着いたころ、市場の紹介で当社がホームユース用のミディ胡蝶蘭の生産を始めることを知り竹中庭園緑化に入社を決める。以来20年以上、JOCにて胡蝶蘭をホームユース用に生産を担当。
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目次
●これも胡蝶蘭??胡蝶蘭の大輪と小輪の違いとは?
●簡単!胡蝶蘭のご自宅での楽しみ方
1)置き場所は?
2)水やりは?
3)もう一度咲かせることに挑戦!
●要チェック!胡蝶蘭の見どころとは?
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これも胡蝶蘭?大輪と小輪の違いとは?
お花の大きさが違います。
大輪は、花の大きさが約10㎝〜、用途は主にお祝いやお供え用で、ラッピングし法人での行事用となります。
小輪はミディ胡蝶蘭と呼ばれ、小さいもので約3㎝〜くらいのものもあります。コンパクトなのでデスクや玄関、リビングに飾りやすく主に自宅用となります。その間に中輪があり、約7㎝〜のサイズになります。
皆さんがよく見る胡蝶蘭は大輪のため、ミディ胡蝶蘭をはじめて見られた方は「これも胡蝶蘭ですか?」とよく聞かれます。ミディ胡蝶蘭は大輪のようにボリュームはありませんが、胡蝶蘭ならではの上品さを兼ね備えつつ、小ぶりで愛くるしく、大切な方への特別なギフトにおすすめです。
苗が小さいので器にアレンジしやすく、置き場所に合わせた鉢選びの可能です。小輪の方が大輪より流通している種類も多く、色・形・模様が豊富で器との組み合わせでさらに花選びを楽しめます。花もちは、環境にもよりますが、大輪も小輪も変わらないと感じています。
簡単!胡蝶蘭のご自宅での楽しみ方
1)置き場所は?
一般的には、春から初夏が開花期。
暖かい室内で、レース越しの日光が当たるところが適しています。
高温多湿を好み、春から秋までは自然条件で、冬は暖かい室内で10℃以上を保つよ良いです。暖房機の温風があたらないよう注意してください。直射日光を避け、夏は60%遮光(レース越しの日光くらい)、冬は30%(ガラス越しの日光くらい)が適しています。
人と同じで、暑すぎも寒すぎも良くありません。胡蝶蘭は置かれた場所で生きていかなければいけない。話すことができないので、ちゃんと気にして日々変化を見てあげることが一番大事です。
2)水やりは?
水やりは必ず!控えめが基本です。
覆っている水苔が中まで乾いたら、晴れた日の午前中に鉢底から(器の底が穴あきの鉢の場合)流れ出るまでたっぷりあげると胡蝶蘭も喜びます。
鉢に水が溜まった状態が続くと根腐れし傷みやすいです。鉢は底に穴が開いている物の方が水が溜まらず、水やりの分量がわかりやすいです。
受け皿や鉢カバーに溜まった水は捨てるようにしましょう。植物は全般的に水不足もダメですが、水のあげ過ぎの方が傷みやすいです。水苔の表面が湿っている間は水は与えないようにしましょう。
胡蝶蘭、生まれは熱帯雨林で育つ植物で、高温多湿を好みます。もともとは根をむきだしに木や岩にしがみつき生息していました。空気中の水蒸気から水分を取り入れることができるので、水のやりすぎより、控えめにして乾燥気味の方が良いです。
■季節での水やりの目安
春・秋/週に1回程度
夏/週に1回
暑い日は、はに朝夕霧吹きをしてあげると胡蝶蘭は喜びます。
冬/2週間に1回が目安。
湿度、日当たりでも回数、量が変わるのであくまで目安としてください。胡蝶蘭は、葉の状態を見るのがわかりやすく、濃い緑で張りがある状態が健康な状態です。葉の色が悪くなったり、シワができたりしてきたら、水や日光の過不足の合図です。
3)もう一度咲かせることに挑戦!
●早く次の花を咲かせたい場合
清潔なハサミで茎の根元から2〜3節の位置でカットします。3〜5ヶ月くらいで新たな茎が出できます。出てこなかった場合は、もう一段下でカットすると再挑戦できます。
暑い時期は新たな茎ではなく葉が出てくることも。葉が出てきた場合は、寒い時期になると花芽が出てくることもあります。
花は葉に近い方から枯れてきます。花が全て咲ききるまで楽しむのも良いですし、咲ききる前にカットすると胡蝶蘭の株は元気な状態を保てます。摘み取ったお花は水盤活けとして水に浮かべたり、花瓶にいれて切り花として楽しむこともおすすめです。
●株を元気に維持して来年も咲かせたい場合
4月〜6月中旬に植え替えがおすすめです。夏や冬は避けましょう。植え替え後、約1週間は水を与えないようにします。その後、2〜3週間は水やりは控えめで、水苔が乾いたら与えます。その後は通常通り水を与えてあげてください。水のやり過ぎは根を痛めますのでご注意ください。
お話したのは一般的な知識で、胡蝶蘭の個体差、環境で異なります。昨今は、急激な気候変動で管理方法も変わってきているとのこと。日々気にしてあげて、花・葉・水苔の変化を気にしてあげてください。それが胡蝶蘭の楽しみ方のひとつでもあります。
要チェック!胡蝶蘭の見どころとは?
胡蝶蘭の見どころは、なんといっても上品な姿から感じ取れる特別感!特に大輪の胡蝶蘭は、華やかで繊細、その上品な姿から、世界中で高価な花としてとり扱われています。
胡蝶蘭が高価になるのは、花がデリケートで傷がつきやすく、温度や湿度の環境の管理、虫や病気の対策、日光の当て方、水やりも1株1株を丁寧に行う必要があり手間暇がかかっているからです。ゆえに大輪の胡蝶蘭は、開店、竣工、移転お祝い、選挙当選など様々なお祝いの贈答に欠かせない花です。
その点、ミディ胡蝶蘭はその品を兼ね備えながら、コンパクトでお手軽なサイズなので、自宅で飾る場所に合わせて楽しむことができます。例えば、リビングに濃いピンク色の胡蝶蘭を置けば、お部屋がパッとあかるくなり幸せな気持ちになれます。胡蝶蘭を飾ると、その上品な姿で特別な気持ちになれますね。
胡蝶蘭の魅力を、もっと多くの人に感じてもらい、自宅でも身近な花として楽しんでほしいです。
胡蝶蘭はとても花に傷がつきやすくデリケートなので、出荷時は箱に花が当たらないか、梱包作業にもとても気を使っています。
私にとっては、胡蝶蘭は娘のよう。
悪い虫はついてないか?
傷ついていないか?水は足りているか?太陽は足りているか?
毎日、気にかけている。
出荷は育てた娘たちの花嫁支度。
見送るのは、嬉しいけど、いつも少し寂しい気もするね。
最後に照れ笑いを見せてくれた前田さん。
ありがとうございました!
<おまけ>
胡蝶蘭が整然と並ぶ夜のハウス内。
胡蝶蘭は水分を蓄える為、日中は、葉の気孔を閉じ、夜になると気孔を開き空気中の水分を取り込みます。その際に葉が少し立ち上がるそうで、一斉に葉が立ち上がる姿は生命力を感じ、とても神秘的とのこと。生産者ならではの楽しみ方ですね。
取材・筆者 :溝手・鈴木 編集:油井・関戸