十五夜・十三夜・十日夜の由来と風習、お月見に飾りたい花図鑑、現代の楽しみ方まで
秋のひとつの楽しみといえば「お月見」ですね。9月に入り、夏の暑さが少し落ち着いてくると「今年のお月見はいつだっけ?」と思う人も少なくないでしょう。ファストフード店ではこぞってお月見商品が販売され、それが1年の楽しみだったりもします。
なんとなくお団子とお花を飾って過ごしていた方も、由来を知ると今年のお月見はまた違った味わいになるかもしれません。知っているようで知らないことが、実はたくさん詰まっている行事なのです。
このコラムでは、知っているようで知らないお月見の歴史や風習、十五夜・十三夜・十日夜と続く「三月見」の物語、そして現代の暮らしに合わせたお花の飾り方まで、大阪の花屋hannaが丁寧にご案内します。
目次
1. お月見とは?2026年の日程もチェック

旧暦では、秋を7月・8月・9月の3ヶ月間としていました。そのちょうど真ん中にあたる「8月15日」を「中秋」と呼び、この日の夜の月をお月見の日と定めました。旧暦では、月がまったく見えない「新月」の日を毎月1日として数えるため、15日目(十五夜)になると、ちょうど月が丸く満ちて見ごたえのある時期となります。
その「旧暦」の8月15日を、今のカレンダー(新暦)に当てはめて決めているのが、現在のお月見の日付です。旧暦では1年が約354日、新暦は1年が約365日と、1年で約11日のズレが生じるため、毎年お月見の日は11日前後ずれていき、4年に1度のうるう年で後ろに下がる、という変動を繰り返しています。
2. お月見の由来|中国から伝わった観月の風習

お月見のルーツは、中国から伝わった「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」という観月の風習です。これが日本の平安貴族の間に広まりました。当時の貴族たちは、夜空の月を直接見上げるだけでなく、池の水面や、盃(さかずき)に注いだお酒に月を映して楽しむという、極めて風流な遊びをしていました。月を見ながら詩歌を詠み、音楽を奏でる、まさに大人の社交場だったのです。
江戸時代になると、この風習が一般庶民の間にも広がります。庶民にとってのお月見は「美しい月を愛でる」だけでなく、「秋の収穫に感謝する祭り」という意味合いが強く込められていました。旧暦の8月15日は、ちょうど主食である米の収穫の手前であり、里芋などの芋類が収穫できる時期です。そのため、無事に作物が育ったことへの感謝と、これからの豊作を祈る行事へと変化していきました。
3. 十五夜・十三夜・十日夜|三月見の物語
日本の秋のお月見には、「十五夜(じゅうごや)」だけでなく「十三夜(じゅうさんや)」というもう一つの特別な月を愛でる風習があります。江戸時代には、片方しか見ないことを「片月見(かたつきみ)」と呼び、縁起が悪いと嫌われるほど、この二つはセットで大切にされてきました。

| 十五夜 | 十三夜 | |
|---|---|---|
| 別名 | 中秋の名月、芋名月 | 栗名月、豆名月、後(のち)の月 |
| 時期 | 旧暦8月15日(2026年は9月25日) | 旧暦9月13日(2026年は10月23日) |
| ルーツ | 中国の中秋節 | 日本独自の風習(醍醐天皇、または宇多法皇が始めたという説が有力) |
| 月の形 | 満月、またはそれに近い円 | 満月の一歩手前(左側が少し欠けた月) |
中国由来の十五夜に対し、十三夜は日本で生まれた独自の風習です。十五夜から約1ヶ月後に巡ってくる十三夜の月は、満月の一歩手前(美しい未完成の美)を愛でる、日本ならではの「わびさび」の感性が反映されています。また、この時期はちょうどお米の収穫が終わり、栗や枝豆が旬を迎えるため、これらを供えて「無事に秋の収穫が終わったこと」を神様に感謝する日となりました。
🏮 小ネタ|なぜ片方だけ見るのはダメ?「片月見」の禁忌
江戸時代の吉原(遊郭)などでは、十五夜に遊びに来た客を十三夜にも再び足を運ばせるための粋な口実として、「片方しか見ない『片月見』は縁起が悪い」という風潮が広まりました。しかし、その根底にあるのは「物事を途中で投げ出さず、実りの秋の始まり(十五夜)から終わり(十三夜)まで、自然の恵みを一連の流れとして感謝しよう」という、昔の日本人の誠実な祈りの姿勢です。
さらに、古来の日本の農村では、十五夜・十三夜に「十日夜(とおかんや)」を合わせた3つの行事を「三月見(さんがつみ)」と呼び、すべて晴れて月が見られると大変縁起が良いとされてきました。十日夜は、月を眺めて美しさを愛でるというよりも、「田んぼの神様(稲の神様)に感謝を告げて見送る」という、純粋な収穫祭・農耕儀礼としての側面が非常に強い行事です。
春に山から下りてきて稲を見守ってくれた田の神様は、この日に役目を終えて山へ帰ると信じられていました。そのため稲刈りをすべて終わらせておくのが鉄則とされ、「藁鉄砲(わらでっぽう)」と呼ばれる藁を束ねた棒で地面を叩いて悪霊を払い、神様を元気づける子供たちの年中行事も行われてきました。2026年の十日夜は11月28日です。
4. お月見の代表的な風習
お月見は、単に綺麗な月を眺めるだけでなく、「秋の収穫に感謝を捧げる大切な節目(収穫祭)」でした。そのため、お供え物や過ごし方の一つひとつに深い意味が込められています。

🍠 里芋やさつまいも(芋名月)
当時はお米で作るお団子よりも、身近な主食であった里芋などの芋類をお供えするのが主流でした。これが十五夜を「芋名月」と呼ぶ由来です。
🌾 ススキの「魔除け」
本来は実りの象徴である「稲穂」をお供えしたかったのですが、時期的にまだ早かったため、形が似ているススキを代わりに飾りました。茎の切り口が鋭いことから、悪霊を追い払う「魔除け」の意味もありました。今でもお月見にススキが欠かせないのは、この名残です。
🍡 15個のお団子
十五夜にちなんで15個、またはその年の満月の数(12個、うるう年は13個)をピラミッド型に積み上げて飾りました。天(月)に向かって高く盛ることで、感謝の気持ちを伝えるためと言われています。積み方にも地域ごとの違いがあり、見た目にも楽しい風習です。
🙏 「お下がり」をいただく
かつては月明かりが直接差し込む縁側や窓辺に台(月見台)を置き、お供え物を並べ、その後「お下がり」を食べる習慣がありました。お月様にお供えしたお団子や芋には月の神様の霊力が宿るとされ、お月見が終わったあとに家族全員でいただくことで、神様とのつながりを強め、健康を祈るという意味がありました。現代でも、お団子を家族で分け合うだけで、その名残を感じることができます。
🐰 小ネタ|「お供え物を盗んでも良い」不思議な風習
この日だけは近所の子供たちが「お月見のお供え物を黙って盗んでも良い」とされていました。子供たちは「月の使者」と考えられていたため、お供え物がなくなるほど「神様に受け入れられた」とされ、お供えを取られた家は縁起が良いと大変喜んだそうです。
5. お月見に飾りたい花と植物図鑑
お月見のディスプレイには、秋の風情を感じさせる植物が欠かせません。また、現代では月や夜空に見立てた花を飾ることも増えてきています。丸い器や丸いお皿など、満月を連想させる花器を使用すると、より雰囲気を出すことができます。花選びに迷ったら、まずはススキを主役に据えて、そこに好みの秋の花を組み合わせてみましょう。

🌾 ススキ
お月見の象徴。稲穂に似ていることから、豊作を祈願して飾られます。また、切り口が鋭いことから「魔除け」の役割もあるとされています。
🌕 ピンポンマム(洋菊)
丸くて可愛らしいフォルムを使って、お月様や月のうさぎに見立てて飾ります。白いピンポンマムにフェルトの耳とボタンの目をつけて、うさぎに見立てるアレンジも人気です。
🌌 リンドウ(ブルー)
深いブルーが夜空に見立てて飾られています。ススキやピンポンマムと組み合わせると、お月見らしい配色がぐっと引き立ちます。
🍂 ワレモコウ
深みのある赤茶色の小花が、秋の落ち着いた雰囲気を演出してくれます。渋みのある色合いが、和モダンなお月見飾りによく馴染みます。
その他にも秋の七草など、日本の代表的な草花はススキ等と相性が良く、秋の雰囲気を演出してくれます。
| 秋の七草 | |
|---|---|
| 萩、ススキ、葛、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ | いずれも秋の野を彩る、古くから親しまれてきた草花 |
6. 現代のインテリアで楽しむお月見の飾り方
縁側がない現代の住居では、リビングや玄関、食卓にお花やススキ、うさぎの小物を飾り、インテリアとしてお月見を楽しみます。

🐇 うさぎに見立てたアレンジ
丸くて黄色いお花(ピンポンマムなど)を満月に見立てて飾ったり、白のピンポンマムにフェルトで耳を、小さなボタンで目をつけてうさぎに見立てて飾るのが定番となりつつあります。
🍶 和モダンな器使い
伝統的な和風の花瓶がなくても、普段お使いのガラス瓶や、シンプルなモノトーンの器にススキと1〜2輪の秋のお花を合わせるだけで、すっきりとした和モダンの空間が完成します。
🍡 お団子と並べて飾る
「お月見団子」と一緒に並べてリビングのテーブルや玄関に。お盆に乗せたお団子と小さな花瓶を隣同士で並べてみましょう。これだけで、季節のイベント感がぐっと引き立ち、SNS映えする空間にもなります。
🍷 盃に映る月を楽しむ
平安時代の貴族たちにならって、空の月を直接見るのではなく、盃(さかづき)のお酒や水面に映る月を眺めながら過ごすのも、風流な大人のお月見の楽しみ方です。
7. お月見ギフトのシーン別おすすめ
季節の行事であるお月見は、大切な人との時間をより特別にするギフトのきっかけにもなります。花を添えるだけで、いつもの集まりが少し特別なお月見会に変わります。シーン別におすすめの選び方をご紹介します。

🏠 お月見の集まりの手土産に
ススキとピンポンマムを合わせたブーケは、お月見会に招かれた際の手土産にぴったり。届いてすぐに飾れるので、当日の食卓をそのまま彩ってもらえます。
🍽️ お月見パーティーのテーブルフラワーに
丸い器にススキとリンドウを合わせた小さなアレンジメントは、お月見団子と並べるテーブルフラワーとして人気です。夜空をイメージした配色で、食卓全体の雰囲気がぐっと引き立ちます。
✈️ 離れて暮らす家族への「季節のお裾分け」に
遠方に住む家族や友人に、うさぎに見立てたピンポンマムのアレンジメントを贈るのもおすすめです。季節の行事を一緒に楽しむような、温かい気持ちが伝わります。
🕯️ 自分へのご褒美、季節のインテリアに
特別な予定がなくても、ススキと秋の花を飾るだけで、暮らしに季節の彩りが加わります。忙しい毎日にひと息つく、自分だけのお月見時間を楽しんでみましょう。
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8. お月見に関するQ&A

Q. 2026年のお月見はいつですか?
A. 2026年の十五夜(中秋の名月)は9月25日(金)です。十三夜は10月23日、十日夜は11月28日と続きます。
Q. お月見団子は必ず15個用意しなければいけませんか?
A. 決まりはありません。十五夜にちなんだ15個が伝統的ですが、その年の満月の数(12個、うるう年は13個)を供える地域もあります。ご家庭の無理のない範囲で、楽しみながら準備してみてください。
Q. 十五夜と十三夜、どちらか一方しか祝えない場合はどうすれば良いですか?
A. 「片月見は縁起が悪い」という言い伝えはありますが、これは由来を知るための豆知識として捉えて問題ありません。難しく考えず、その時々で月を見上げ、季節の恵みに感謝する気持ちを大切にしましょう。
Q. お月見に飾る花に決まりはありますか?
A. 厳密な決まりはありませんが、ススキは欠かせない存在です。そこにピンポンマムやリンドウ、秋の七草などを組み合わせると、季節感のある飾りになります。丸い花器を使うと、満月のイメージがより引き立ちます。花屋に「お月見に合う花を」と伝えれば、旬の花材でまとめてもらうこともできます。
9. まとめ——三月見に込められた、祈りと感謝の物語

なんとなく、お月見と言えば団子とお花を飾ったり、お月見のフードを食したりと過ごしていた方も、今年は本来のお月見を楽しんでみるのもいいかもしれません。昔の人々は、2か月近くかけて何度も月を見上げ、その時々の実りに感謝を重ねていました。忙しい現代だからこそ、こうした季節の節目を大切にしたいものです。
十五夜だけでなく、十三夜、十日夜と続く「三月見」の歴史を知ると、秋の味覚がより一層愛おしく、ありがたいものに感じられてきませんか。今年は、ススキと季節の花を一輪飾って、静かに月を見上げる時間を過ごしてみてください。
大阪の花屋hannaでは、お月見にぴったりのススキや秋の花を使ったアレンジメントを豊富にご用意しています。実店舗では季節に合わせた花を直接ご覧いただけるほか、オンラインショップでは全国配送に対応、メッセージカードの無料添付も可能ですので、大切な方への贈り物にも、ご自宅用のインテリアにも、お気軽にご利用ください。
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